うどんの画像

連載全1回のうち第1回目

作成:讃匠 麺研究センター

「茹で伸びしない店」が繁盛する

――讃匠式 ピーク時オペレーションの科学

目次

ピーク時の5分が店の運命を決める。
讃匠式「再現性オペレーション」で、 誰が作っても「100点の一杯」が出せる店へ。

① ピーク時に「差」がつくのは、麺の質だけではない

飲食店での最長待機時間は、20分以上待った経験のある人が半数以上

参考:HITACHI大型商業施設内の飲食店混雑状況に関する調査レポート(2021.03.11)
https://www.hitachi-solutions.co.jp/digitalmarketing/sp/dm_labo/vol15/

HITACHIの調査によると、商業施設の飲食店で20分以上待った経験のある人は半数以上います。

お店が混雑していた場合、諦めて別の飲食店に入ってしまう可能性もあり、未来のお客様の機会損失になってしまいます。

だからこそ、繁盛店との差はピーク時のオペレーションに現れます。

つまり、「味」ではなく「提供の再現性」が勝負です。

  • 釜の温度は落ちていないか
  • 茹で湯の濁りは抑えられているか
  • 釜前のスタッフが茹で加減とオペレーションのバランスを取るために“迷っていないか”
  • 茹で上がり→盛付け→提供の「秒数」が守られているか
  • うどんが伸びる死角(提供前の渋滞)がないか

ピーク時オペレーションは、 たった5分で味を損なうこともありますし、 逆に5分で繁盛店の未来を作ることができます。

讃匠式のピーク戦略は、その「5分の科学化」です。

② 茹で伸びは「麺の問題だけではなく、段取りの問題」

一般的に「うどんが伸びた」と言われると、 どうしても「麺そのもの」が原因と誤解されがちです。

しかし讃匠の結論は逆です。

→伸びるのは麺だけのせいではありません。

伸ばしているのは「段取りのミス」です。

讃匠がこれまで数百件の店舗を見てきた中で、 「伸びの原因」の8割は次の3つに集約されます。

①盛付け前の渋滞
  • 丼が足りない
  • うどんを湯切りしたまま放置
→麺の余熱で急速に劣化
② 出汁・天ぷらの準備不足
  • 出汁の炊き上がり待ち
  • 天ぷらが間に合わない
→麺だけが先に上がってしまう
③ 釜の温度低下
  • 茹で湯の量が不足している
  • 差し水をしている
→茹で上がりの食感そのものが弱い

すべて段取り=オペレーションの問題です。

讃匠式では、 これを“科学で無くす”アプローチを採用します。

③「伸びないうどん」を作る讃匠式ピーク時オペレーション5原則
【原則1】麺の湯量は「麺の10倍以上」。ここからすべてが始まる
  • 1kgの麺→10Lが最低ライン
  • 湯量が少ないと、“茹でる”のではなく“煮る”ことになる
  • 塩抜きが進まず、麺に透明感・粘りが出ない
→これを守らない限り、他の努力は意味がなくなってしまいます。
【原則2】 差し水は禁止。差し湯で温度を落とさない
  • 差し水は一気に湯温を8〜10℃落とす
  • 伸びの最大の原因
  • 釜の濁り=麺も死ぬ
→正解は、差し湯(熱湯で湯量キープ)です。
【原則3】 丼の事前加温&盛付け動線の短縮化

讃匠の成功店はみな、 丼を常に温めています。

これだけで、 盛付け時の劣化が20〜30%減ります。

さらに

  • 「盛付け係」の前の動線
  • 天ぷら・ネギ・出汁の位置
  • 立ち位置の距離

これらを15〜30cm単位で設計すると 伸びる前に着丼できます。

【原則4】 茹で上がりから提供までを「秒管理」する

讃岐うどんは、 茹で上がりが食感のピークであり、 秒単位で価値が下がっていきます。

ピークの基準としては、

  • 茹で上がり→盛付け:15秒以内
  • 盛付け→着丼:30–45秒以内

これが守られると、 ピーク時でも味の劣化ゼロを実現できます。

【原則5】お店の「伸びポイント」を数値化する

讃匠式は最後に「計測」で仕上げます。

  • 麺が20秒以上湯切りされている時間
  • 盛り付け前の滞留
  • 釜前のお客様の行列
  • 出汁が追いつかないタイミング
  • 天ぷら補充の遅れ

これらを全部数字で可視化すれば、 改善点は自動的に見えてきます。

→「経験」ではなく「科学」で繁盛が再現できます。
④ピーク時のオペレーションを制する店は、繁盛が必ず続く

讃匠が全国の成功店を見てきた結果、明らかになった事実があります。

ピーク時が強い店は、売上と評判が必ず伸び続けます。

その理由は以下の通りです。

  • 待たされても美味しい
  • 味のブレが一切無い
  • 麺が伸びない(高い満足度)
  • SNSで見る料理の写真が美しい
  • クレームゼロ
  • スタッフ負担が減り、辞めない
  • 回転率が安定する

讃匠式ピークオペレーションは、 お店の未来を安定させる「再現性の技術」です。

またピーク時のオペレーションが強いと、リピーターになってもらいやすくなります。

リピーターと言っても、2回目の来店者もいれば、3回、4回と何度もいらっしゃるお客様がいますよね。 実は、重要なのは「2回目」のお客様になってくれるかどうかです。 よく、1回来たお客様が2回目に来店してくれる可能性は4割程度で、3回目に来てくれる可能性は8割になる、と言われます。 初回来店→(40%)→2回目来店→(80%)→3回目来店 つまり、いちどリピートしてくれればその後に何度も来てくれるお客様になる可能性が圧倒的に高まるのです。 「一見さん」から「再訪客」になってくれるための工夫やアプローチが何より大切だということです。

引用元:カンタンがいちばんユビレジ 飲食店がリピーターを増やす方法|繰り返し来店してもらえるお店  (2016.03.16)
https://ubiregi.jp/pos-regi-guide/inshoku-repeater-wo-fuyasuniha

⑤「麺が伸びない店」がブランドになる

お客様が時間やお金を使ってでも“また来たい”と思ってもらえるのは、麺が伸びないお店です。

  • 茹でる麺の10倍以上の湯量を常に保つ
  • 差し湯は絶対しない
  • 釜の茹で湯の濁りを管理する
  • 盛り付けの動線を最適化する
  • 「茹で上がり」から「提供」までを秒で管理する
  • オペレーションを数値化する

これらは単なる技術を超えて、 ライバル店との差別化を図る「ブランド価値」と呼ばれるものになっていきます。