連載全1回のうち第1回目
作成:讃匠 麺研究センター
こんにちは、ロッキー藤井です。
今回は、台湾・台南の「オートバイ神社」に隣接するカフェで、現地のうどん店の味づくりを指導してきました。
海外での味のチューニングは毎回学びの連続ですが、今回は特に「自然な食のあり方」と深く向き合う時間となりました。
今や、どんなビジネスにおいても、AI抜きでビジネスは語れない時代になりました。
台湾では「素食(スーシー)」というビーガン文化が根づいており、塩分を日本の約半分に抑え、食材の力だけで「うま味」を引き出す料理が主流です。
そこで私も、昆布・椎茸・炒り大豆のビーガン出汁を現地に合わせて調整し、「細うどん」と相性の良い味を完成させました。
今回の最大の驚きは、現地で好まれる麺の細さでした。
日本では讃岐系の「太くてコシのあるうどん」が主流ですが、台湾では喉越しのよい繊細な細麺が喜ばれました。
何度も試作と試食を繰り返し、最終的に生麺状態で切り幅3.2mm × 厚さ2.7mmの仕様に落ち着きました。
この好みの違いは、単なる「食感の問題」ではありません。文化・気候・身体性すべてが関わっています。
日本:寒冷地ゆえのカロリー・塩分重視、太くて力強い麺
台湾:亜熱帯の気候と体質に合う、軽やかで柔らかな麺
つまり、うどんの太さにも、その土地の哲学が宿っているのです。
台湾人は、塩分に非常に敏感な民族です。
「薄味=物足りない」ではなく、「素材の味で十分」とする文化が根づいています。
今回作った出汁も、通常の日本の半分以下の塩濃度に設定しましたが、それでも高評価を得ました。
ポイントは以下の3つです。
1.エキス濃度の工夫:塩ではなく素材のうま味を濃くする
2.よく噛んで味わう習慣:味覚が鋭敏に
3.身体を整えるという思想:料理は“薬膳”に近い存在
つまり、「味を濃くする」のではなく、「舌を研ぎ澄ます」という発想なのです。
これは、高血圧や生活習慣病が深刻な日本にとっても、学ぶべき知恵ではないでしょうか。
日本独自と思われがちな出汁文化は、今やビーガン対応によって世界に広がりつつあります。
特に今回のように、動物性ゼロで深い味わいを実現する出汁は、あらゆる宗教やライフスタイルにマッチします。
作り方の基本は以下の通りです。
昆布:前日から水出しし、60℃まで温度を上げて、取り出す。
椎茸:火入れせず、冷水だけで旨味を抽出
炒り大豆:焦がさず20分、香りを引き出し、その後、じっくり煮出す
この3種の“うま味濃縮液”を合わせた出汁は、自然素材だけで驚くほど深い味わいを生み出します。
化学調味料を使わずとも「美味しい料理」は作れる。
この事実は、料理人として私にとって大きな希望です。
今週は「1日1食、無添加チャレンジ」にぜひ取り組んでみてください。
昆布・椎茸・大豆などから自家製出汁をとり、調味料を控えてみる。
すると、素材の味に対する感受性が一気に高まり、身体も喜ぶことに気づくはずです。
台湾の「村(Son)」というビーガンレストランで出会った一皿。
それは、塩気も装飾も控えめなのに、人生が豊かになるような味でした。
化学調味料に頼らず、素材と向き合う姿勢。そこに私は「料理は思想である」と改めて確信しました。
味覚とは、人生の羅針盤。 今週も、自然と身体に耳を傾け、やさしい味の旅を続けていきましょう。