連載全1回のうち第1回目
作成:讃匠 麺研究センター
人手不足や高齢化が進む時代でも、「自分の味を届け続けたい」という熱い想いを持つ経営者の皆様が多くいらっしゃいます。
今回は、うどんへの想いを技術で支え、事業の継続を可能にした、ある90歳の現役店主の実例をご紹介します。
彼は過去最年長の受講生でした。
修了後、製麺機を購入せず、讃匠の業務用うどんを使って開業しました。
以来12年間、自分のお店で毎日うどんを茹でて、出汁を取り、お客様へ提供されています。
現在90歳。いまだに現役です。
「自分の手で麺を打たなくても、お客様に喜ばれる味が出せる。 それが、長く続けられる理由です。」
自家製麺は、高齢になると体力的に難しくなります。
しかし、業務用うどんを使うと“技術より想い”でお店を続けることができるのです。
これは「業務用うどん」という言葉の意味を変える実例です。
“手間を省く”のではなく、“生き生きと働くための人生を延ばす”麺なのです。
日本では「人手不足」が叫ばれていますが、 実際には「働きたいのに仕事がない高齢者」が大勢います。
働きたい意欲を持ちながら、体力的な不安を持つ方々が、長年の経験と想いを活かし、お店の継続という形で社会と繋がるための「新しい選択肢」が必要です。
90歳の店主のように、 「今日も変わらず、美味しいうどんを出す」――その姿こそが、日本の食文化の根です。