作成:讃匠 麺研究センター
「お客様のニーズを知りたい」と考える店主は多いですが、 実は多くのお店がある大切なポイントに気づけずにいます。
それは—— お客様の言葉を、そのまま信じてしまうことです。
人は本音を口にしません。
特に飲食では、
「何が好き?」
「どんな味が良い?」
と聞かれると、ほとんどの人が“建前”で答えます。
繁盛店は違います。
店主は 言葉ではなく“行動”を見る。 ここに、認識のズレをなくす最大の秘訣があります。
表層ニーズとは、
「早く食べたい」
「安いほうがいい」など、
口で言いやすい要求です。
しかし、本当に店を選ぶ理由は別にあります。
これが “深層ニーズ”=本音の欲求 です。
讃岐うどんの本質価値はまさにこの深層にあります。
刺身のような透明感、噛んでも切れない粘り、 茹で立ての湯気と出汁の香り——。
人はこの“快感の再現”を求めて来店します。
うどんは、ただお腹を満たすための料理ではなく、 ストレスを溶かし、心を整える料理なのです。
では、深層ニーズはどこに現れるのか?
答えはシンプルです。
お客様の“行動”にすべて現れる。
うどん店で観察すべき行動は、次の5つです。
① 何を最初に手に取るか
例:天ぷらか、おでんか、冷たいものか温かいものか。 これは“体の不足”を埋める行動です。
② どれを残すか
「残されるもの」には必ず理由があります。
味・食感・量・温度・油分の“違和感ポイント”が潜んでいます。
③ どの順番で食べるか
うどん→天ぷら→出汁、なのか 天ぷら→うどん、なのか。
人は“快感の頂点”を無意識に先に食べます。
④ どこで迷うか
レジ前で迷うのか、トッピングで迷うのか。
迷い=ニーズと商品設計のズレです。
⑤ 写真を撮る瞬間
麺の輝き・立ち上る湯気・食欲をそそる麺の箸上げ。
写真のタイミングは、“お客様が最も感動した瞬間”の記録です。
言葉よりも、この5つの観察の方が100倍正確です。
香川県のうどん店は、 “行動を読む文化”によって進化してきました。
茹で立ては10分かかる——
では、その待つ10分をどうするか?
のセルフサービス文化です。
これは「空腹を満たすため」ではありません。
待ち時間が“楽しみ”に変わるように設計されています。
お客様の行動を読み切っているからこそ、 うどん店は待たせても繁盛できるのです。
繁盛店は、 お客様の行動を“翻訳”する力に長けています。
行動の裏側には、実はこんな本音が隠れています。
認識のズレがなくなると、 メニュー開発も、価格設定も、店内導線も、 すべての判断が正しくなります。
それが、うどんビジネスの本質です。
弾力・粘り・透明感の三拍子が揃うと、 一度食べたお客様が「またあの麺を食べたい」と思うようになります。
味ではなく、“記憶に残る食感”という心の満足なのです。