利益を生み出す
高品質の仕入れ麺

必要な値上げだけで終わらせない。+150円でも選ばれる商品をつくる

必要な値上げだけで終わらせない。+150円でも選ばれる商品をつくる

いつもありがとうございます。讃匠です。

原材料費、人件費、光熱費。飲食店を取り巻くコストは上がり続けています。これまで850円で販売していた商品も、原価や人件費を考えると、900円に価格改定しなければ適正な利益が残らない。そういう場合もあると思います。

私は、「必要な値上げは、必要であれば行うべきだ」と考えています。

利益が残らない価格のまま無理を続ければ、最終的には店そのものが続かなくなります。

しかし、ここでもう一つ考えていただきたいことがあります。値上げだけで終わっていないでしょうか。

850円の商品を900円にする。それだけでは、お客様から見れば50円の値上げです。

では同時に、「もう150円払ってでも、こちらを食べたい」と思っていただける商品をつくることはできないでしょうか。

今週は、必要な価格改定を行いながら、お客様が自分から上位商品を選びたくなるメニューづくりについて考えてみたいと思います。

「値上げ」と「上位商品をつくる」は別の話です

ここを、まず明確にしておきたいと思います。

例えば、現在850円の商品があります。原価や人件費の上昇によって、適正な利益を残すためには900円が必要になった。それなら、850円を900円に価格改定する。これは経営上、必要な判断です。

しかし、そこで終わらない。900円の定番商品に加えて、1,050円の商品、1,200円の商品も用意する。つまり、900円、1,050円、1,200円というように、お客様自身が、その日の気分や予算に合わせて選べるようにするのです。

値上げするか、上位商品をつくるか。どちらか一つではありません。

必要な価格改定を行いながら、同時に商品の価値の幅も広げる。これが今回、一番お伝えしたいことです。

値上げだけで終わる

  • 定番850円
  • 定番900円

お客様から見れば「50円の値上げ」

値上げ+選べる幅をつくる

  • 定番900円
  • おすすめ1,050円
  • ごちそう1,200円

お客様が気分や予算で「選べる」

+150円で、何を加えられるでしょうか

例えば、900円の肉うどんがあるとします。これを定番商品として残しながら、1,050円で「店主おすすめ 温玉きのこ肉うどん」をつくる。

  • 温泉卵
  • 季節のきのこ
  • わかめ
  • 大根おろし

今ある材料を組み合わせることもできます。

大切なのは、150円分の原価を増やすことではありません。150円以上の価値を、お客様に感じていただくことです。

「今日は少し贅沢しよう。」「野菜も一緒に食べたい。」「温泉卵が入っている方が美味しそう。」そう思って、お客様自身が1,050円の商品を選んでくださる。これなら、単なる値上げとは意味が違います。

+150円で、何を加えられるか

定番

肉うどん 900円

  • 温泉卵
  • 季節のきのこ
  • わかめ
  • 大根おろし
店主おすすめ 温玉きのこ肉うどん 1,050円

今ある材料の組み合わせでつくれます

+150円の商品は「全部入り」でなくていい

上位商品をつくるというと、具材をたくさん載せなければいけないと思うかもしれません。しかし、それでは原価が上がりすぎます。

大切なのは、原価を増やすことではなく、価値を増やすことです。

  • 季節の食材を一つ加える
  • 温泉卵を加える
  • 盛り付けを変える
  • 器を変える
  • 商品名を変える
  • POPで商品の魅力を伝える
  • 「店主おすすめ」として見せる

こうした工夫も、商品の価値になります。同じ材料でも、組み合わせ方、名前、見せ方によって、お客様の感じる価値は変わります。

原価ではなく、価値を増やす工夫

  • 食材季節の食材を一つ加える
  • 食材温泉卵を加える
  • 見せ方盛り付けを変える
  • 見せ方器を変える
  • 伝え方商品名を変える
  • 伝え方POPで商品の魅力を伝える
  • 伝え方「店主おすすめ」として見せる

お客様は「150円」を買っているのではない

お客様が上位商品を選ぶとき、単に150円分の材料を買っているわけではありません。

  • 満足感
  • 健康感
  • 楽しさ
  • 季節感
  • 少し贅沢な気分

例えば、「肉うどん」だけではなく、「秋のきのこ香る温玉肉うどん」とする。

あるいは、「一日頑張る高たんぱく肉うどん」とする。商品の中身だけではなく、「これを食べる理由」まで伝える。

そうすると、上位商品を選ぶ理由が分かりやすくなります。

お客様は「150円分の材料」ではなく、これを買っている

  • 満足感
  • 健康感
  • 楽しさ
  • 季節感
  • 少し贅沢な気分

商品名で「これを食べる理由」まで伝える

肉うどん

  • 秋のきのこ香る温玉肉うどん季節感
  • 一日頑張る高たんぱく肉うどん健康感

3段階の価格をつくってみる

私がおすすめしたいのは、一つの商品カテゴリーに、3段階の選択肢をつくることです。

  • 900円 定番肉うどん
  • 1,050円 店主おすすめ 温玉きのこ肉うどん
  • 1,200円 特選 肉天うどん

もちろん、価格はそれぞれのお店の原価や地域、お客様に合わせて決めてください。重要なのは、安い・高いだけではなく、価値の違いが分かることです。

900円には900円の良さ。1,050円には1,050円の良さ。1,200円には1,200円の良さ。お客様が、「今日はこれにしよう。」と自分で選べる状態をつくるのです。

一つのカテゴリーに3段階の選択肢

  1. 900円 定番 定番肉うどん
  2. 店主おすすめ 1,050円 おすすめ 温玉きのこ肉うどん
  3. 1,200円 ごちそう 特選 肉天うどん

※価格は各店の原価・地域・お客様に合わせて決めてください

一番おすすめしたい商品を、はっきりさせる

3段階の商品をつくったら、店として一番おすすめしたい商品を決めます。

例えば、1,050円の「温玉きのこ肉うどん」です。メニューには、「店主おすすめ」「今月のおすすめ」などと表示する。スタッフも、「今はこちらがおすすめです。」と一言お伝えする。

押し売りする必要はありません。大切なのは、お客様が選ぶための情報を、きちんと伝えることです。

値上げするときこそ、商品の価値を見直す

価格を上げるとき、店側はどうしても、「お客様が離れないだろうか。」と心配になります。

しかし、だからこそ、価格だけを見るのではなく、商品そのものの価値を見直す機会にしていただきたいと思います。

なぜ、この商品を注文していただけるのか。何がお客様に喜ばれているのか。もっと喜んでいただくために何ができるのか。

値上げは、単に数字を書き換える作業ではありません。商品と価格の関係を見直す機会でもあるのです。

とっておきの提案

皆さまのお店で一番売れている商品を一つ選んでください。そして、二つのことを考えます。

  • 一つ目:現在の価格で、適正な利益が残っているか。残っていなければ、必要な価格改定を検討する。
  • 二つ目:その定番商品に対して、+150円程度で、お客様がもっと喜んでくださる商品をつくれないか。

考えてみてください。そして、一週間だけ試してみます。見る数字は、次の5つです。

  • 定番商品が何杯売れたか
  • 上位商品が何杯売れたか
  • 客単価がどう変わったか
  • 利益がどう変わったか
  • お客様からどんな反応があったか

最初から完璧な答えを出す必要はありません。小さく試して、お客様に答えを教えていただく。これが一番確実だと思います。

一番売れている商品で、2つのことを考える

  1. 適正な利益が残っているか残っていなければ、必要な価格改定を検討する
  2. +150円程度の上位商品をつくれないかお客様がもっと喜んでくださる商品を考える

一週間試して、見る数字は5つ

  • 定番商品の販売数
  • 上位商品の販売数
  • 客単価の変化
  • 利益の変化
  • お客様の反応

今日からできる6つのこと

  • 一番売れている商品を一つ選ぶ。
  • その商品で適正な利益が残っているか確認する。
  • 必要であれば、適正な価格への改定を検討する。
  • +150円程度で、さらに価値を高めた上位商品を一つ考える。
  • 定番・おすすめ・ごちそうの3段階をつくってみる。
  • 一週間試し、販売数・客単価・利益を確認する。

大切なのは、値上げするか、しないかだけで考えないことです。

価格と価値を、一緒に見直してください。

みなさまへの質問

皆さまのお店では、価格改定をしたときに、同時に商品内容やメニュー構成を見直した経験はありますか。

例えば、「値上げと同時に上位商品をつくった。」
「おすすめ商品を変えたら客単価が上がった。」
「高い商品をつくったが、全く売れなかった。」
という経験があれば、ぜひ教えてください。

成功事例だけでなく、失敗した事例も大歓迎です。実際の店で起きたことほど、他のお店にとって役立つ情報はありません。

皆さまからいただいた事例は、掲載の可否を確認したうえで、今後のPMS Letterで共有していきたいと思います。

全国の麺店の知恵を集めながら、「利益が残り、お客様にも喜ばれる価格と商品のつくり方」を、皆さまと一緒に考えていきたいと思います

【コメントはこちらから】

まとめ

  • 必要な値上げは、必要であれば行う。
  • 値上げと上位商品の開発は、二者択一ではない。
  • 価格改定と同時に、商品の価値も見直す。
  • 定番商品に+150円程度の上位商品をつくってみる。
  • 原価を増やすのではなく、お客様が感じる価値を増やす。
  • 3段階の商品をつくり、お客様自身に選んでいただく。
  • まず一品、一週間試し、販売数・客単価・利益を見る。

私は50年以上、麺ビジネスに携わってきました。その間にも、原材料が上がった。人件費が上がった。光熱費が上がった。何度も、価格を見直さなければならない時期がありました。

価格を上げることは、経営者にとって勇気のいる決断です。しかし、利益が残らない価格を守り続けることが、お客様のためになるとは限りません。

利益がなければ、良い材料を使い続けることも、スタッフの待遇を良くすることも、設備を直すことも、店を次の世代へ残すこともできません。だから、必要な値上げは必要です。

しかし、値段だけを上げて終わってほしくないと思っています。価格を見直すときこそ、「もっとお客様に喜んでいただくには、何ができるだろう。」と考える。

そして、

・定番商品
・おすすめ商品
・少し贅沢な商品

と、お客様が選べる幅をつくる。そうすれば、値上げは単なるコスト転嫁ではなく、店の商品をもう一度磨き直す機会になります。

価格を上げるだけではなく、価値も一緒に上げる。ぜひ、そこまで考えてみてください。

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Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

1948年5月、香川県坂出市生まれ。
国立高松工業高等専門学校 機械工学科を卒業後、川崎重工株式会社にて航空機の機体設計に従事。

その後独立し、1975年に大和製作所を創業。製麺機の開発・販売を通じて、麺業界の発展に貢献し、小型製麺機においては業界トップシェアを確立。

1984年には麺の研究を開始し、麺研究室(ジャパンフードリサーチ)を創業。讃岐うどんの伝統製法を科学的に解析し、現代の小麦粉に適した独自製法を確立。

1986年に株式会社讃匠を設立し、本格的にうどんの製造・販売を開始。「亀城庵」ブランドは楽天市場にてグルメ大賞を史上初の10回連続受賞するなど、高い評価を獲得。

また、2000年にうどん学校、2004年にラーメン学校・そば学校を開校し、これまでに多数の繁盛店を輩出。「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として、テレビ・メディア出演や全国講演も多数。麺ビジネス一筋に50年以上携わる

令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

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