連載全2回のうち第1回目
作成:讃匠 麺研究センター
前回は、お店の運営におけるAIの活用についてお話ししましたが、今回は厨房に焦点を当てます。
厨房は、働く人の経験や勘が重要視されてきました。しかし、これからの飲食店、特にうどん店においては、「人」と「AI」それぞれの強みを活かしたバランスがカギとなります。
飲食店の仕事は、お客さまと接する「ホール」と、料理を作る「厨房」に分けられます。
・ホール:お客さまをもてなす「おもてなし」の心や、臨機応変な対応が求められる、サービス業の最前線です。
・厨房:注文をいかに早く、正確に調理して提供できるかが問われる、製造工場のような側面があります。
実は、この「製造工場」という考え方は、日本の製造業が世界で成功を収めた トヨタのジャストインタイム方式 と似ています。
必要なものを、必要な時に、必要なだけ作ることで無駄をなくすこの仕組みは、厨房のオペレーションにも応用できます。
日本の製造業は、まず工場でのIT化やロボット化を進め、作業の効率を劇的に向上させました。
この成功から見習うべきは、「まずは製造現場(厨房)の効率化から始める」 という考え方です。
お客さまと接するホールと、料理を作る厨房。それぞれの役割は違いますが、どちらもITやAIの力を借りることで、よりスムーズな運営が可能になります。
うどん店にとって、厨房でもっとも手間がかかり、熟練の技術が必要な作業は、なんといっても麺を茹でる作業 です。
こうした課題を解決する最も有効な手段の一つが、AIを活用した自動化です。
茹でる時間、水で洗うタイミング、湯切りなど、これまで人の手で行ってきた作業をAIが正確に管理し、自動化することで、以下のようなメリットが生まれます。
✅誰でも安定した品質のうどんが作れる
「あの人じゃないとできない」 という状況をなくし、スタッフ教育にかかる時間も労力も削減できます。
✅働く人の負担を軽減できる
熱気のある場所での作業が減り、スタッフがより快適に働けるようになります。
✅生産性が向上し、人手不足を解消できる
少ない人数で、より多くの作業をこなせるようになります。
最近では、カンブリア宮殿でも取り上げられた炒め物調理ロボットを開発する企業(Tech Magicなど)がサブスクリプションモデルでサービスを提供しており、初期費用を抑えて導入できる例も増えています。
これからのうどん店経営において、キッチンの自動化 は避けては通れないテーマです。AIを活用し、厨房の生産性を高めることが、お店の未来を左右するといっても過言ではありません。
・「店主がいないと仕込みができない」・「新人は戦力になるまで1か月以上かかる」・「ピーク時にオペレーションが崩壊する」
こうした特定のスタッフの経験や勘に頼った運営に悩んでいませんか?
本記事では、麺ビジネスが最終的に目指すべき方向として、AIの力で「誰でもできる厨房」へ変える方法をご紹介します。
これは、遠い未来の話ではなく、少なくとも5~10年以内に達成できていないと、これからの厳しい競争の中で生き残るチャンスが減少すると考えられています。
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