こんにちは、讃匠です。
皆さまのお店でも、冷たいうどんの注文が増えてきているころではないでしょうか。
昔、うどん店の年間最大売上月は冬でした。
寒い季節になると、
- かけうどん
- 釜揚げうどん
- 肉うどん
などを求めるお客様で店は賑わい、冬こそがうどん店最大の商戦でした。
ところが現在では事情が大きく変わりました。
多くのうどん店で、年間最大売上月は8月になっています。
その背景にあるのが、冷たいうどん文化の発展です。今月は、夏の売上を大きく左右する「冷たいうどん」について考えてみたいと思います。
冷たいうどんは香川が育てた文化
今では、
- ざるうどん
- 冷たいぶっかけうどん
- 冷かけうどん
- おろしうどん
- 山かけうどん
- すだちうどん
などは夏の定番商品です。
しかし、昔からそうだったわけではありません。戦後、高松の名店「川福」の創業者が始めたと言われるざるうどんが大きな転機でした。当時のうどんは、温かく食べるものが中心でした。
そこへ、冷水で締めたうどんをざるに盛り付けるという新しい食べ方が登場します。
これが爆発的な人気となりました。
冷水で締めたうどんは、
- コシが強くなる
- のど越しが良くなる
- 小麦本来の風味を感じやすい
という特徴があります。
その後、ぶっかけうどん、おろしうどん、山かけうどん、すだちうどんなどが次々と登場し、現在の夏のうどん文化が形成されていきました。
新しい食べ方が新しい市場をつくる
私は50年以上うどん業界を見てきました。
その中で確信していることがあります。それは、新しい食べ方が生まれるたびに市場は広がるということです。うどん業界では、ざるうどん・ぶっかけうどん・おろしうどん・釜玉うどんが登場するたびにブームが起きました。
ラーメン業界でも、味噌ラーメン・つけ麺・まぜ麺・油そば・冷やしラーメンが市場を広げてきました。お客様は単に麺を食べているのではありません。
新しい体験を楽しんでいるのです。
ラーメン業界から学べること
最近のラーメン業界を見ると、つけ麺やまぜ麺が大きな市場を作っています。つけ麺は、ざるうどんに近い発想です。
まぜ麺は、ぶっかけうどんと共通する部分があります。タレを絡めながら食べる。途中で味変を楽しむ。トッピングを楽しむ。
こうした考え方は、うどん業界にも十分応用できます。うどん業界は伝統産業ですが、伝統とは変化しないことではありません。
良いものを取り入れながら進化してきたからこそ、今日の讃岐うどん文化があります。
夏は冷やし麺を主役にする
この時期のお客様は、来店前から「今日は冷たいものが食べたい」と思っています。
だからこそ、冷たいうどんを単なる季節商品ではなく、夏の主力商品として位置づけることが重要です。
繁盛店ほど、店頭看板・のぼり・POP・メニュー・SNSのすべてで「今、一番おすすめの商品」を明確に伝えています。
夏のうどんは「たんぱく質」で完成する
実は、うどんには一つ弱点があります。主成分が炭水化物であることです。香川県は日本一のうどん県ですが、糖尿病患者の割合も全国上位として知られています。
もちろん原因はうどんだけではありません。しかし、これからの時代は「美味しい」だけでなく「健康的」という視点も必要だと思います。
そこで私が提案したいのが、季節のたんぱく質をしっかりプラスしたうどんです。
高たんぱく化は客単価アップにもつながる
ここが重要です。たんぱく質を加えることで、お客様は価格に納得しやすくなります。
例えば、ざるうどんだけなら700円前後の商品でも、
- 冷しゃぶ
- 蒸し鶏
- 牛肉
- 焼き鯖
- 温玉
- 納豆
などを組み合わせることで、1,000円〜1,500円の商品になります。しかも単なる値上げではありません。
お客様は「健康的だ」「栄養バランスが良い」「これ一杯で満足できる」と感じます。つまり、満足感が高まるため、高単価商品が売れやすくなるのです。
一鶴に学ぶ高たんぱく商品の力
香川には素晴らしい成功事例があります。それが一鶴の骨付鶏です。
骨付鶏は1本約250gあります。可食部で考えても、成人が必要とするたんぱく質をかなり摂取できます。
お客様は「骨付鶏が食べたい」と思って注文します。しかし結果として、十分なたんぱく質を摂取しているのです。
美味しさと健康が両立しています。これはうどん店にも応用できます。
たんぱく質をプラスした夏メニューの例
たんぱく質を加えた夏メニューの参考として、次のような商品が考えられます。
冷しゃぶぶっかけうどん
豚肉のたんぱく質とビタミンB群を補給。
蒸し鶏と夏野菜の冷やしうどん
高たんぱく・低脂肪。女性客にも人気。
温玉・納豆・オクラぶっかけ
植物性たんぱく質と発酵食品。
焼き鯖おろしうどん
魚のたんぱく質とDHA・EPA。
骨付鶏セットうどん
香川らしい高付加価値商品。
これからのうどん店が目指す方向
私はこれからのうどん店には、三つの価値が必要だと思います。
おいしい/健康になる/利益が出る
この三つです。これからの日本は超高齢社会です。高齢者も若者も、健康を意識して食事を選ぶ時代になります。
だからこそ、うどんも「安くお腹を満たす食事」から「健康と満足を提供する食事」へ進化する可能性があります。
今月の実践ポイント
今月は、この夏、一番売りたい冷たいうどんを1商品決めることから始めてください。そして可能であれば、その商品にたんぱく質をプラスしてみてください。
それが、次のヒット商品になるかもしれません。
まとめ
冷たいうどんは、最初から存在した文化ではありませんでした。
誰かが挑戦し、お客様に支持され、業界全体へ広がっていったのです。ざるうどんも、ぶっかけうどんも、最初は新しい提案でした。
そして私は、次の提案は「高たんぱく・高満足・高付加価値のうどん」ではないかと思っています。うどん業界もラーメン業界も、新しい食べ方が生まれるたびに市場が広がってきました。
次の時代を作るのは、皆さまのお店かもしれません。
ぜひ今年の夏を、過去最高の夏にしてください。




