利益を生み出す
高品質の仕入れ麺

同じ麺でも、名前と見せ方で商品の価値は変わる|新しい材料を増やさず、「食べたい一杯」に変える

いつもありがとうございます。讃匠です。

これまで、「原価高・人手不足の中でも、小さな麺店がきちんと利益を残すにはどうすればよいか」をテーマにお伝えしてきました。

  • 売れないメニューを見直す
  • +150円で選ばれる商品をつくる
  • 「もう一品」で客単価を上げる

そして今回は、もう一つ、ぜひ試していただきたいことがあります。それは、今ある商品の「名前」と「見せ方」を変えることです。

  • 新しい材料を仕入れなくても構いません
  • 新しい調理器具も必要ありません
  • 場合によっては、原価を1円も増やさなくてもできます

それでも、お客様から見た商品の価値は変えられます。

「肉うどん」と書いてあるだけで、食べたくなるでしょうか

例えば、皆さまのお店に、「肉うどん 850円」という商品があるとします。もちろん、これでも何の商品かは分かります。しかし、お客様に伝わるのは、「肉が入ったうどん」ということだけです。

では、次のように書いてあったらどうでしょう。

  • 店主おすすめ 熱々・満足肉うどん
  • 秋のきのこ香る肉うどん
  • 温玉とろ~り肉うどん
  • 寒い日に食べたい熱々肉うどん

同じ肉うどんでも、受け取る印象が少し変わります。

なぜでしょうか。商品の中身だけでなく、「食べたときの場面」が想像できるからです。

同じ商品でも、名前で印象が変わる
BEFORE
肉うどん 850円
伝わるのは「肉が入ったうどん」ということだけ
AFTER
店主おすすめ
熱々・満足肉うどん 850円
「食べたときの場面」が想像できる
価格も中身も同じ。変わったのは「名前」だけ

商品名は「説明」ではなく、「食べたい理由」を伝える

商品名を考えるとき、「何が入っているか」だけを伝えている店が少なくありません。肉うどん。きつねうどん。天ぷらうどん。わかめうどん。もちろん、分かりやすさは大切です。しかし、そこに一言加えるだけで、「なぜ、これを選ぶのか」が伝わりやすくなります。

  • 温玉肉うどん → とろ~り温玉の満足肉うどん
  • きのこうどん → 秋の香りたっぷり きのこうどん
  • 天ぷらうどん → 揚げたてサクサク 天ぷらうどん

大げさな名前にする必要はありません。大切なのは、その商品の一番良いところを、一言で伝えることです。

「食べたい理由」が伝わる名前のつくり方
今の商品名
+
一番良いところを
一言で
=
食べたい理由が
伝わる名前
温玉肉うどん → とろ~り温玉の満足肉うどん
きのこうどん → 秋の香りたっぷり きのこうどん
天ぷらうどん → 揚げたてサクサク 天ぷらうどん
大げさな名前にする必要はありません

お客様は、厨房の中までは見えない

私自身、長年、麺ビジネスに携わる中で感じていることです。店側は、その商品の良さをよく知っています。

  • この出汁は手間をかけている
  • この肉は味付けに工夫している
  • この天ぷらは注文が入ってから揚げている
  • この麺にはこだわっている

ところが、お客様は、それを知らないのです。何も書かなければ、ただの「肉うどん」、ただの「天ぷらうどん」として見られてしまうことがあります。店にとって当たり前のことでも、お客様にとっては初めて知る価値かもしれません。

だから、良い商品をつくるだけでは足りません。その良さを、きちんと伝える必要があります。

店とお客様の「見えている情報」の差
店側が知っていること
✔ この出汁は手間をかけている
✔ この肉は味付けに工夫している
✔ 天ぷらは注文が入ってから揚げている
✔ この麺にはこだわっている
厨房の壁 見えない
お客様に見えていること
ただの「肉うどん」
ただの「天ぷらうどん」
だから、良さを言葉にして伝える

「名前」だけでなく、「見せ方」までが商品です

商品名を変えただけで終わってはいけません。次に見直していただきたいのが、どこに、どのように載せているかです。

  • 一番売りたい商品は、メニューの中で目立っていますか
  • 写真はありますか
  • POPはありますか
  • 「店主おすすめ」「今月のおすすめ」「秋限定」など、お客様が目を止める理由がありますか

せっかく良い商品でも、メニューの端に小さな文字で載っているだけでは、気づいてもらえません。反対に、「今、一番食べてほしい一杯」を一つだけ決めて、しっかり見せる。これだけでも、店のメニューは分かりやすくなります。

「見せ方」を構成する4つの要素
今、一番売りたい一品
1 商品名
一番良いところを一言で
2 メニュー・写真
端に小さく載せず、目立たせる
3 POP
「店主おすすめ」「今週のおすすめ」
4 スタッフの一言
「今日は、こちらがおすすめです」
4つが同じ方向を向いたとき、商品の魅力はより伝わる

すべてを「おすすめ」にしてはいけない

ここで注意していただきたいことがあります。あれもおすすめ。これもおすすめ。全部おすすめ。これでは、お客様は迷います。

私は、一番おすすめしたいものを、一つ決めることをおすすめしています。例えば、今週は「秋のきのこ香る肉うどん」を一番売りたい。そう決めたら、

  • メニューで目立たせる
  • 入口にも小さなPOPを置く
  • 注文時にスタッフが「今はこちらがおすすめです」と一言伝える

店全体で、「今はこれです」と伝えるのです。

お客様に選びやすくしてあげることも、大切なサービスだと讃匠は考えています。

おすすめは「一品」に絞る
NG
あれも、これも、全部おすすめ
→ お客様は迷ってしまう
OK
一番売りたい一品を決める
・メニューで目立たせる
・入口に小さなPOPを置く
・注文時にスタッフが一言伝える
→ お客様が選びやすくなる

スタッフの一言も「見せ方」の一部です

以前の記事でもお伝えしましたが、スタッフの一言には大きな力があります。「何にしますか?」だけで終わるのではなく、こうした短い一言です。

  • 「今日は、こちらがおすすめです。」
  • 「今月は、この商品をよく注文いただいています。」
  • 「寒くなってきたので、こちらはいかがですか。」

押し売りする必要はありません。選ぶための情報を、一つ増やしてあげる。それだけです。

POP、メニュー、商品名、スタッフの一言。 これらが同じ方向を向いたとき、商品の魅力は、より伝わりやすくなります。

価格を変える前に、価値が伝わっているかを見る

原材料費、人件費、光熱費が上がれば、値上げを考えるのは当然です。しかし、その前に一度、自分のお店の商品を見ていただきたいのです。商品の良さは、お客様に十分伝わっているでしょうか。

例えば850円の商品を900円に値上げする。その前に、850円の商品が「850円払ってでも食べたい商品」として見えているか。さらに言えば、「900円でも食べたい」と思っていただける価値を、きちんと伝えられているか。

価格だけを見るのではなく、価格と一緒に、伝わっている価値を見る。これが大切です。

値上げの前に確認したい2つのこと
確認1 今の価格で
850円の商品が「850円払ってでも食べたい」と見えているか
確認2 値上げ後の価格で
「900円でも食べたい」と思える価値を伝えられているか
価格だけでなく、価格と一緒に「伝わっている価値」を見る

まず一品、「名前」と「見せ方」だけを変えて一週間試す

ここで私から、とっておきの提案です。今あるメニューから、一品だけ選んでください。

  • 変えないもの:商品(新商品は不要)・材料・価格
  • 変えるもの:「名前」と「見せ方」だけ

進め方は次のとおりです。

  1. 「肉うどん 850円」を、「店主おすすめ 熱々・満足肉うどん 850円」にする
  2. 「今週のおすすめ」というPOPを一枚つくる
  3. スタッフにも、「今週はこちらがおすすめです」と伝えてもらう
  4. これを一週間だけ続ける
  5. 変更前の一週間と、変更後の一週間で、販売数を比べる

比べるときは、次の点を見ます。

  • 販売数は増えたのか、変わらなかったのか
  • お客様から何か反応があったのか

もし販売数が増えれば、商品の中身を変えなくても、伝え方を変えることで、お客様の選び方が変わった可能性があります。逆に変わらなければ、名前や見せ方を、もう一度考えればよいのです。

大切なのは、小さく試して、数字で確認することです。

一週間テストの進め方
変えないもの:商品・材料・価格 / 変えるもの:名前と見せ方だけ
1
今あるメニューから、一品だけ選ぶ
2
名前を変える(例:「店主おすすめ 熱々・満足肉うどん」)
3
「今週のおすすめ」POPを一枚つくり、スタッフも一言おすすめする
4
一週間だけ続ける
5
変更前の一週間と、変更後の一週間で販売数を比べる
販売数が増えた
伝え方で、お客様の選び方が変わった可能性。次の商品に広げる
変わらなかった
名前や見せ方を、もう一度考えて試す
小さく試して、数字で確認する

今日からできる6つのこと

  • 今あるメニューから、一番売りたい商品を一つ決める
  • その商品の「一番良いところ」を一言で書き出す
  • 商品名に「食べたい理由」が伝わる言葉を加える
  • 「店主おすすめ」「今週のおすすめ」などのPOPを一枚つくる
  • スタッフ全員で、同じ商品を一言おすすめしてみる
  • 一週間後、販売数がどう変わったか確認する

一度にメニュー全部を変える必要はありません。まず一品です。一品で結果が出たら、次の商品に広げてください。

みなさまへの質問

皆さまのお店では、「名前を変えたら売れるようになった商品」はありませんか?

あるいは、
・写真を載せたら注文が増えた
・POPを出したら急に売れ始めた
・スタッフがおすすめするようになったら売れた
という経験はないでしょうか。

反対に、

・名前を変えたけれど、全く変わらなかった
・POPをつくったけれど、効果がなかった
という失敗例も、ぜひ教えてください。

成功だけでなく、うまくいかなかった理由にも、大切なヒントがあります。

皆さまからいただいた事例は、掲載の可否を確認したうえで、今後のブログ記事・メルマガで共有していきたいと思います。

全国のうどん店の実践例を集め、「売れる一杯のつくり方」を、皆さまと一緒に蓄積していければと思います。

【コメントはこちら】

まとめ

・新しい材料を増やさなくても、商品の価値は高められる。
・商品名では「何が入っているか」だけでなく、「食べたい理由」を伝える。
・店側が知っている商品の良さを、お客様は知らないことがある。
・名前、写真、POP、メニューの配置、スタッフの一言までが「見せ方」。
・全部をおすすめせず、「今、一番売りたい一品」を決める。
・価格を上げる前に、商品の価値が十分伝わっているか確認する。
・まず一品、一週間試し、販売数で確認する。

私は長年、麺づくりを通じて、多くの麺店を見てきました。その中で感じることがあります。良い商品だから、必ず売れるわけではない。ということです。

一生懸命つくっている。材料にもこだわっている。味にも自信がある。それでも売れないことがあります。なぜか。私は、その原因の一つが、「良さが伝わっていない」ことだと考えています。これは、非常にもったいないことです。

商品そのものを変えるには、お金も時間もかかります。しかし、次のようなことは、今日からでもできます。

  • 名前を変える
  • POPを一枚つくる
  • 置く場所を変える
  • スタッフが一言伝える

こうした小さな改善こそ、小さなお店の強みだと考えています。店主が、「明日から、これをやってみよう」と決めれば、すぐに試せます。そして、お客様の反応を見る。良ければ続ける。駄目なら変える。その繰り返しです。

売れない商品の見直し、+150円の商品づくり、「もう一品」の提案、そして「名前と見せ方」の見直し。どれも、大きな投資を必要とするものではありません。しかし、小さな改善を一つずつ積み重ねれば、店の利益は少しずつ変わっていきます。私はこれを、「1%の改善の積み重ね」だと考えています。

ぜひ皆さまのお店の一品を、「もっと食べたく見える一品」に変えてみてください。

コンテンツのご紹介・転載について

これまでのブログ記事が、皆さまの商品づくりや店舗運営、経営改善のヒントとして少しでもお役に立ちましたら、ぜひお知り合いのうどん店経営者、飲食店経営者、料理人、お取引先、ご友人へご紹介ください。

日本の麺文化は、一社だけでは発展できません。全国のうどん店や麺店が互いに学び合い、知恵を共有し、新しい挑戦を続けることで、日本の麺文化はさらに豊かになり、次の世代へ受け継がれていくと私たちは信じています。

ブログは、転送・社内共有・勉強会や研修での活用・SNSやブログでの紹介など、内容を改変しない範囲での転載・二次利用を歓迎します。

ご紹介・引用いただく際は、「讃匠創業者 藤井薫」とご記載いただければ幸いです。一通の転送、一つの共有が、日本の麺文化の未来を育てる力になります。

ぜひ、この輪を皆さまと一緒に広げていければ幸いです。

読者からの質問・要望も受け付けています

うどん店経営に役立つ情報を一方的にお届けするだけではなく、読者の皆さまからの質問・要望も受け付けています。

「こんなテーマを取り上げてほしい」「自店ではこのような課題がある」「夏メニュー、麺の食感、つゆ、集客、客単価アップについて相談したい」そのような声を、今後のブログやメルマガで取り上げ、できる限り具体的に回答していきます。私はいただいたメールは一通一通、大切に読ませていただきます。

▶ ご質問・ご要望・ご感想はこちら

讃匠では、業務用うどんの仕入れ麺も取り扱っております。

麺の仕入れ先をお探しの方や、実際に麺を試してみたい方は、ぜひ業務用麺サンプルをご活用ください。

▶業務用うどん麺サンプルのお申し込みはこちら

Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

1948年5月、香川県坂出市生まれ。
国立高松工業高等専門学校 機械工学科を卒業後、川崎重工株式会社にて航空機の機体設計に従事。

その後独立し、1975年に大和製作所を創業。製麺機の開発・販売を通じて、麺業界の発展に貢献し、小型製麺機においては業界トップシェアを確立。

1984年には麺の研究を開始し、麺研究室(ジャパンフードリサーチ)を創業。讃岐うどんの伝統製法を科学的に解析し、現代の小麦粉に適した独自製法を確立。

1986年に株式会社讃匠を設立し、本格的にうどんの製造・販売を開始。「亀城庵」ブランドは楽天市場にてグルメ大賞を史上初の10回連続受賞するなど、高い評価を獲得。

また、2000年にうどん学校、2004年にラーメン学校・そば学校を開校し、これまでに多数の繁盛店を輩出。「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として、テレビ・メディア出演や全国講演も多数。麺ビジネス一筋に50年以上携わる

令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。

開業運営支援
悩みを解決!

どんな小さなお悩みや疑問でも、ご不明な点等ございましたら、
お気軽にお問い合わせください。