利益を生み出す
高品質の仕入れ麺

ロッキー藤井の繁盛支援コンテンツ

店主が現場に縛られなくなる仕組みの作り方

うどん店にとって、2月は1年間の間で1番暇な時期です。だから私は、この時期がとても大事だと思っています。なぜなら暇なときにしか、基準は整えられないからです。

店主が現場を離れる構造を作る絶好のチャンスです。

1.店主が現場に縛られる本当の原因とは

忙しいときは、回すだけで精一杯。

味も、オペレーションも、トラブルが起きた時も、「とりあえず今を乗り切る」判断になりがちです。店主が現場に縛られるのは「性格」ではなく「仕組み」が整っていないことが原因です。

店主の頭の中にしか判断基準や正解がないので、言語化や仕組み化がされていないためです。この状態だと、スタッフは判断することができません。スタッフが判断できないと、結局、店主が現場から離れられなくなります。

2.店主が現場に縛られなくなるお店が必ず作っている「3つの基準」

① 味の基準

「美味しい」の正解を、言葉と基準に落とし込み、誰が行ってもブレが出にくい状態にする

② オペレーション(段取り)の基準

ピークでも崩れにくい順番・手順を設計し、とりあえず今を乗り切る判断で終わらないようにする

③ トラブル対応の基準

クレーム・ミス・欠品など“例外”への対処

現場がブレなくなるためには、「味・オペレーション・トラブル対応」の3つの基準が必要です。まずは始めやすい「味の基準作り」から着手されることをおすすめします。

事例:坂出駅の中に最初のうどん店を作った時の話

私も坂出駅の中に最初のうどん店を作ったとき、かなり長い間体感で1年ほど現場に縛り付けられていました。現場を離れると不安なので、結局「自分がやるしかない」状態でした。

現場を離れられない最大の理由は、マニュアル・仕組みが無かったこと以上に、味の正解である判断基準が言語化されていなかったことでした。まず、最初に手をつけたのは味の判断基準を明確にすることでした。

3.味を安定化させるために着手した5つのこと

味を安定させるには、才能ではなく、基準(言語化)が必要です。そして、言語化するために、塩度と、濃度にそれぞれ、塩度計と濃度計を利用しました。

坂出駅のお店で、私が最初に整えたのは次の5つです。

① 出汁: 「何をもって合格か」を決める

出汁は、忙しくなるほどブレます。だから最初に合格ラインを下記のように決めました。

※ここで大事なのは、抽象論ではなく
「この状態ならOK/ここからはNG」と線を引くことです。

◇ 香り(立ち上がり)

【合格】 湯気と共に、節類の香りが鼻へ抜ける
【NG】 魚の生臭さや、煮出しすぎた「重い匂い」が混じる

◇ 塩味の角が立っていないか

【合格】 塩気を感じさせず、旨味の中に丸く溶け込んでいる
【NG】 舌先に塩が刺さり、出汁の甘みより「しょっぱさ」が勝つ

◇ 塩味の角が立っていないか

【合格】 昆布や節が重なったふくらみのある味(後味に濁りや重たさを感じない)
【NG】 薄い: 深みのない平坦なぼやけた味になっている
         重い: えぐみが出ていて、キレがわるい

② 出汁: 作業手順を「順番」で固定する

味が安定しない主な理由は、材料そのものではなく、調理時の順番の違いによるものです。そこで、

◇ どの順番に材料を入れるか

雑味を抑え、温度変化に合わせて旨味を最大化させる順番で入れる

◇ 材料を入れてから、何分待つか

旨味成分だけ取り出すのに最適な時間:雑節なら5分置く

◇ どのタイミングで火加減をどう調整するか

ぬめりや雑味を防ぐ、沸騰直前の「ふつふつ」とした状態を維持基準を明確にし、順番を決めました。

③ 麺:茹での“3条件”を固定する

麺の食感は、茹での条件で決まります。
私が基準を決めたのは、最低この3つです。

  • 茹で時間(目安ではなく基準)
  • 茹で湯の状態(茹で湯の濁り具合、湯量、茹で湯の温度管理)
  • 麺を茹で上げてから提供までの時間(置くと麺質が変わる)

忙しいと、この3つは崩れやすくなります。
だからこそ、麺の食感や品質を維持するためにも基準をスタッフにも共有しておく必要があります。

④ 盛り付け:手元の誤差を消す

盛り付けは、少しの誤差で

  • 「いつもの味じゃない」に直結します。
  • 麺の水気をしっかり切る
  • 出汁・トッピングの量の目安(いつも一定量計ることができる専用レードルやスプーンを使用)
  • トッピング平面ではなく中央に山ができる「山型盛り」に

スタッフが“目で見て同じ”になるように、メニューの見本写真を用意しました。

⑤ 最終チェック:店主の目を「チェック表」に移す

店主の不安を減らすために「店主のこだわりをチェック表に移す」ことを行いました。

つまり、店主が現場にいなくてもスタッフが「確認できる状態」を作っておくのです。これが縛られない構造の核心です。

2月は、売上を追う月ではなく、基準を完成させる月です。今月整えたことが、春以降の繁忙期の利益と余裕を決める材料になります。

Picture of 藤井 薫(ロッキー藤井)
藤井 薫(ロッキー藤井)

1948年5月、香川県坂出市生まれ。
国立高松工業高等専門学校 機械工学科を卒業後、川崎重工株式会社にて航空機の機体設計に従事。

その後独立し、1975年に大和製作所を創業。製麺機の開発・販売を通じて、麺業界の発展に貢献し、小型製麺機においては業界トップシェアを確立。

1984年には麺の研究を開始し、麺研究室(ジャパンフードリサーチ)を創業。讃岐うどんの伝統製法を科学的に解析し、現代の小麦粉に適した独自製法を確立。

1986年に株式会社讃匠を設立し、本格的にうどんの製造・販売を開始。「亀城庵」ブランドは楽天市場にてグルメ大賞を史上初の10回連続受賞するなど、高い評価を獲得。

また、2000年にうどん学校、2004年にラーメン学校・そば学校を開校し、これまでに多数の繁盛店を輩出。「麺店の影の指南役」「行列の仕掛け人」として、テレビ・メディア出演や全国講演も多数。麺ビジネス一筋に50年以上携わる

令和5年 秋の叙勲にて「旭日単光章」受章。