連載全4回のうち第3回目
作成:讃匠 麺研究センター
一風堂の40年間の成功から導き出される、グローバル展開の成功方程式があります。
成功方程式 = 独自技術 × 根っ子理解 × 継続的進化
これは、他店では真似できない科学的根拠に基づいた製法と数値化された品質管理システム(独自技術)に、技術の原理原則への深い理解と職人的感性・科学的思考の融合(根っ子理解)、そして現状に満足しない向上心と市場変化への柔軟な対応(継続的進化)が組み合わさることで、真の成功がもたらされることを意味しています。
一風堂の成功は、決して偶然ではありません。創業50年間で培った当社の「根っ子」が、その基盤を支えていたのです。
当社の「根っ子」とは、熟成概念の確立や科学的製法の体系化といった「技術的な根っ子」に加え、九州時代に発見した繁盛の法則や顧客視点での総合的サポートといった「営業的な根っ子」、そして技術の言語化・マニュアル化やラーメン学校での人材育成といった「教育的な根っ子」が有機的に結合したものです。
これらが組み合わさることで、単なる機械の販売を超えた、総合的な成功支援システムが完成しています。
現在、麺業界を取り巻く環境は急速に変化しています。
国内市場では、人口減少による市場縮小や消費パターンの変化という課題がある一方で、インバウンド観光客の急増やSNSによる情報拡散の加速というチャンスも生まれています。
また海外市場でも、アジア圏での日本食ブームや欧米での健康志向の高まりなど、大きな拡大機会が広がっています。
国内においても、インバウンド観光客への対応は重要な戦略テーマです。彼らが求めているのは、単なる「日本のラーメン」ではありません。「本物の日本でしか味わえない特別な体験」なのです。
この期待に応えるためには、やはり独自の麺技術による差別化が不可欠です。画一的な製麺所の麺では、特別感を演出することはできません。
インバウンド成功の要件は、製麺過程自体がエンターテインメントとなるストーリー性のある技術、SNS映えする視覚的なインパクト、そして母国では体験できない味覚での驚きと文化的な価値を融合させることです。
フェーズ1:国内での技術完成(6-12か月)独自の麺技術を確立し、品質管理システムやスタッフ教育システムを整備します。
フェーズ2:技術移転システムの構築(3-6か月)現地環境に適応した製法調整を行い、現地スタッフ向けの教育プログラムや品質監視システムを導入します。
フェーズ3:現地展開と品質維持(継続的)現地での製麺工場を設立し、品質管理責任者の育成や定期的な技術監査を実施しながら、現地市場に応じた商品開発を進めます。
グローバル市場では、現地競合との差別化がさらに重要になります。
成功には、安定した味と品質、コスト競争力といった「基本品質」をクリアした上で、独自の製麺技術や科学的根拠に基づく品質管理といった「技術的優位性」を築くことが不可欠です。
さらに、一風堂が成功し続けているのは、「日本の職人技術への敬意」や「製麺過程のストーリー性」といった「文化的価値」をブランドとして確立しているからです。
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